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とにかく情報を収集しなければ。
夜は黒兎が家庭教師になって、学校の勉強と、祓師の事についてのレクチャーを受ける。仕事の話だけでいいのに・・・。
そういえば有栖の話の時やにハッキリしない言い方してたのを思い出す。
「黒兎、靫だけどお前の方が関わりが強いってどういうこと?」
チッと舌打ちしてあからさまに嫌な顔をした。
「三日月家は伊勢にお仕えしていた・・・だから私の方が近くにいると思われたのだろう。時々有栖様と話される時に私の身体を使ったりするし・・・」
「身体を使う?」
「あぁ!うるさいなぁ、もう!私に憑依して身二つにしないと話し合えないだろ」
「そうか・・・二人で一つの身体。・・・でもでも、言霊じゃ駄目なのか?」
「言霊だと難しいらしい。私にもわからない」
「じゃあ、黒兎は二人の会話を聞けたりするのか?」
ムッとした顔でクッションを投げつけられた。
「うるさい!何でも聞くな」
月曜日の朝、似合わない制服に着替えて、似合わない朝食を食べ、皇子とともに登校する。有栖はすっかり元気になっている。いつも通りきらきらオーラを纏っている。
「なんで俺と登校するの?」
「ボクとの登校は嫌か」
「いや、そういうことじゃなくて・・・俺とじゃなくてウサギ兄弟と旧知の仲だろ?有栖と一緒だと目立ってしまうし・・・」
そのあとの言葉に詰まった。何を言いたかったんだろ。
リムジンに向かい合って座っていると何か顔が熱くなる。恥ずかしいんだ・・・なんかヘンな気分。七夜さんからまったく見えない密室(ゴージャスな部屋のような車内)で二人きり・・・トクトクと心臓が高鳴る。
話を振らなきゃ・・・質問を絞り出す。
「体育館の裏の扉に何があるんだ?」
「ゲートの中心がある。毎日見回りをしているが妖気が倉庫に溜まってきているらしい」
「そうだろうな・・・扉から漏れ出てたもんな」
有栖は驚いた顔をして俺を見た。
「そんなことも分かるのか?」
「有栖も見えてんだろ・・・俺にも見えてるよ。結構グラウンドの方にもきてるよな」
「話が早いな・・・かなり悪魔の力が強まる。満月も近い。今夜何かが起きると思う。動くのは今夜だな。妖しい動きをしているやつをマークしろ」
「了解」
学校まで七夜にリムジンで送ってもらいながら皇子と今夜の計画について話した。
皇子が俺の隣に席を移して耳元で話す。こそばゆい・・・なぜか躰の芯が蕩ける様な妙な気分になった。
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