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ちょっと小声になりつつ石川くんに耳打ちした。あれ石川くんに近づいてもドキドキせぇへんな。
「あのさ、俺の家主・・・のうちの子と登校する事になったんやけど、近寄られるとドキドキするんよ。妙に脈が速くなったり、喋りかけられると特に・・・さ」
「棚葉くん、その子、女の子?」
「女の子やったらどうやねん?」
「棚葉くん恋したんじゃないの?」
「は?」
「男やったら?」
「え?男の子なの?」
コクコク縦に首を振った。石川くんは真剣にじっと考え込んでいたが
「その男の子に恋をしてるんじゃない?」
「うっそぉ~!威張ってるし、高飛車だし・・・だけどすんごく顔、綺麗だしおまけに肌白いの・・・キメも細かくてツルツルしてそうやったなぁ」
制服から透けた身体を思い出す。ついうっとりしてしまう。
「肌って・・・どうして知ってるの?」
興奮して喋りすぎて余計な事も言ってしもた。
肌キレイで白くて・・・って見てしもたからや。
ありえんとこも・・・うわっ!思い出してしもたわ。
「風呂上がりに見てしもて//」
真っ赤になりながら焦ってごまかした。きっと不審に思われたんじゃないか?
「ずっと男の子好きなの?」
「いや、今まで好きになった子は女の子だけや」
「じゃあ、特別その子だけなんだね」
「石川くん、俺恋しとる事前提?マジで恋しとるんやろか?」
「間違いなくそれは恋だよ、棚葉くん。この学園の子なんだろ?応援するよ」
石川くんは笑顔でガッツポーズをしてくれた。
いや・・・応援されても・・・相手は俺の主やねんて。それに恋・・・ってまさか、裸見ただけやン。
そりゃあ、有栖の仕事は大変で手伝いたいし、ひとりでそんな大役を担っているのも尊敬しとる。
だからって『恋』なんてありえるか?【オトコ】やで。
今日の夜、初仕事になるっていうのに心がフワフワしたまま時間だけが過ぎていった。
帰りもまた七夜の運転で有栖と下校した。石川くんが変な事いうから余計意識してしまう。
「十六夜、なんで顔が赤いんだ?熱でもあるのか?今日仕事なんだから体調管理は万全してもらわないと困るんだが」
皇子口調で俺を非難しているのにちっとも頭に入って来ない。まずい意識すると本気で『恋』になっちまいそうだ。
落ち着け!落ち着け!ひたすら車の中で呪文のように唱えた。
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