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「キスとその・・・それはどのくらい違う?」
「んんー。たぶん今起きれるようになる」
「キスだとあさってくらいかな」
正直迷った。何で迷っているのかはわからない。靫の言っている事は本当なのかどうかさえ分からない。からかっているだけかも。
「キスしなかったら・・・?」
「一週間はかかる」
「食べる事も出来ないんだ。体力も回復できない」
「靫が食ってやればいいじゃん」
俺は俯いて赤くなりながら聞いた。
「食事と魔力は別物だから。まぁそうだよな、オトコとそんなことできねぇよな。今のは聞かなかったことにしてくれ。あと有栖に言うなよ。アイツそういうの駄目だから」
「そうだろうな、軽蔑されるな」
靫は枕に頭を埋め、布団をかぶった。一回唾を飲み込んで靫に話しかける。
「靫、俺で気持ち悪くないなら・・・」
靫の紅い唇がニヤリと嗤った。
「キスして・・・」
そのままベッドの端に座り靫の唇に唇を寄せた。靫が俺の頭を押さえる。首に腕が回される。
「ん・・・」
「口開いて・・・」
靫の甘い声が聴こえる。ゆっくり口を開くと靫の舌が侵入してくる。
「んんん・・・あ・・・」
自分もいつしか夢中になっていた。舌を絡め合い吸った。
柔らかくて気持ちいい。身体が融けてしまいそう。
呼吸するのも忘れひたすら靫の口腔内を舐めまわす・・・唾液が糸を引く。
有栖・・・有栖・・・好きだ。抱きしめたい。
「ネンネのわりに上手・・・ふ・・・」
とっさに靫の服に手を掛けそうになって我にかえる。
「フフ・・・寝てみる?オレと・・・」
「ダメ・・・駄目だよ・・・いけない」
自分に言い聞かせるように呟いた。そっと靫の胸元に置いた手を引く。服を引き裂いてしまうかもしれない。そんな激情に呑まれそうになっていた。
靫はつまらなそうな顔をして不機嫌になった。
「やっぱネンネか、でもキス上手かったよ、御馳走様。明日くらい起きられるかもな」
とても部屋にいられないような気がして飛び出した。有栖の部屋の前の廊下にへたり込んでしばらく立ち上がれなかった。
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