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今日も送迎はリムジン・・・有栖と二人で後ろに乗り込む。向かい合わせに座っていてもまともに見れない。
有栖は口を聞かない俺をじっと訝しげ見ている。余計顔が赤くなってばれてしまいそうで怖い。有栖の澄んだ蒼い眼に見透されてしまう気がする。
「十六夜、なんか避けてないか?仕事のあとから一向に話してこない。お喋りなやつなのに」
「いや・・・次の事とか考えちゃって」
「なんか不安な事でもあるのか?」
「有栖に負担をかけない方法があるかとか・・・」
これは本当だが、避けているのも本当。
「あれはいい結果になった、気にするな。もう少しボクの霊力が強くなればいいのだけど」
「俺、有栖の負担を減らせるようにできることないか?」
「随分助かったけど・・・なに?他に」
「俺、魔力有るみたいなんだけど、お前に渡せる方法とか・・・」
「誰から魔力があるって聞いた?」
「え?あー、ラっラテからさ・・・俺の魔力の感じが身体からするって・・・」
「ふぅん。でもそんな方法ないよ」
有栖は靫の言った方法は言わなかった。嫌だと言っていたものな。
「前回のようにフォローしてくれればいい」
「でもっ!」
有栖を見た瞬間、また制服が透け始めた。何で・・こうなんの?
これって俺がすけべってこと。もう見せないでくれ・・・お願いだから。
有栖は気付いてないのか?気付いてたら隠すよね。これは自分の能力?
また眼をそらすと、有栖が近付いてくる。
「お前、なんか隠してるか?」
「かっ隠してないっ!」
自分でもわかりやす過ぎる。
車の中の空間はホント心臓に悪い。ドクドク心臓が高なっていまにも爆発寸前だ。
有栖は溜息を洩らして流れる景色に目を移した。
リムジンの中の密室で一糸纏わない(ように見える)有栖と二人きりの時間は地獄のようだった。
この生活は毎日続く。
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