16人が本棚に入れています
本棚に追加
ついに一週間後には根を上げて寮に戻りたいと有栖に直談判した。
「なんで?何が気に入らないんだ!」
ひどく怒っている。本当の事をいったらもっと怒るだろうな。
「ボクが気に入らないのか?避けてるし、仕事がわるかったか?」
有栖がひどく必死になっている。取り乱してるのを初めて見た。
本当の事を半分だけ話せば納得してくれるかな?意を決して服の件を話す。
「一緒にいると・・・その服が透けて・・・あ・・・有栖の身体全部、見えちゃうようになって・・・その・・・気まずくて」
一瞬びっくりした顔をして、事の次第に気付いたのか一瞬で真っ赤になってモジモジした。
「今、見えてる?」
「・・・ん・・//」
有栖は耳まで真っ赤になって布団をかぶった。
「ごめん・・・言えなくて・・・その・・・」
「言ってくれればよかったのにっ!//」
肩を震わせて床に座り込んでいる。すごくかわいい。
そんな風に思ってしまった。布団まで透けてる・・・震えてる背中が見えて愛おしい。
可愛くなって思わず肩を抱いてしまった。
「離せって!」
ドンと押し戻された。そりゃそうだよな・・・嫌われて当然だ。
「だから、寮に帰るよ。いいかい?」
有栖は黙っていたのでそっと有栖の部屋を後にする。そして部屋に帰って荷作りを始めた。
「おいっ!誰が帰っていいていったんだ」
大声を張り上げて、ドアを思いっきり空けて飛び込んできた。
「だって嫌だろ!こんなのが傍にいると」
「そ・・・それはお前のせいじゃない。ボクのせいなんだ。だから帰るな!」
有栖が俺の背中に縋りついた。体温を背中に感じる。泣いているのか?
「何で、泣いてるの?」
「泣いてなんかないっ!」
相変わらず強情だ。でも声は泣いてうわずっている。これ言わないと納得しないかな。
最初のコメントを投稿しよう!