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《黒兎side》
部屋のドアを叩く音がする。
靫は気だるい身体を引き摺りながら、バスローブを羽織り、ドアを開けた。
「こんな時間になんだ、黒兎」
「十六夜と…寝たんですか?」
「お前に報告する義務はないが?」
「あんたって人は…」
部屋に入ってきて、荒々しく胸ぐらを掴んだ。
バスローブのはだけたところから情事の痕跡を見つけてカッとしたのか突き飛ばされた。
「あんた!誰とでも寝るのか!」
「フンッ!お前とは寝ないな。なんの得もないから。お前に十六夜位の魔力があったら寝てもいいけど」
「……」
「わかったら帰れ!」
「私は見返りは要りません。ただあなたの身体が傷つけられるのは我慢ならない」
「オレは気持ちいいし、得られる物があるからなんともない」
「有栖様の為にあなたが身体を汚すことは…」
思わず黒兎を殴った!怒りをおさえきれなかった。
「有栖の為じゃない!オレのためだ!勘違いするな。お前は一生オレの犬だ。犬なら犬らしく餌が欲しけりゃ主人の満足するものをもってこい」
倒れている黒兎を足蹴にする。
黒兎はゆっくり起き上がりオレの手を取り自分の頬に擦り付けた。
「私はあなたのモノです。あなたに喜んで貰えるなら命も惜しくない」
「……」
黒兎はゆらりと起き上がると部屋から出ていった。
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