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執事に上座に案内されるが居心地が悪い。
待っている時間が非常に長く感じる・・・すると後ろから見知った声がした。
「あっれ~!コチコチじゃなーい、十六夜クン、いらっしゃ~い」
「白兎・・・」
この一言で緊張が取れた、今はそのチャラい言葉がありがたい。
「来たか!野猿め」
黒兎は相変わらず不機嫌そうだ。
「こんな家みたことねぇから緊張してんねん」
「ほら、関西弁!」
「わかってるよっ!」
白兎の指摘にいちいち噛みつく。そんな時間が俺の緊張をほぐしていった。
「待たせたな、棚葉十六夜」
皇子は私服だ・・・私服も皇子風キラキラだった。
ヨーロッパ貴族的な衣装・・・シェークスピアの舞台衣装の様なお袖とか首にリボンとかビロードの揃え。さすがに皇子です。
家でもこんなんですかっ!疲れんだろうな。いや、自分がいま疲れています。
「ようこそ、早速で悪いんだが仕事の話をしたい」
願ってもない話だ。いつまでもこの雰囲気にいたら自分が何時代に居るのか分からなくなる。
「白兎からあらあら聞いたようだがあの学園について聞きたい事があるか?」
「おおありだ!アンタら結界はもっとピンポイントで張ればいいだろう?学園中を覆って中に居るやつらは魔物の餌にするつもりか?」
「そうだ」
冷たい声で有栖は言い放つ。
「おい!将来嘱望すべき若者を餌にしていいと思ってんのか!」
「仕方ないだろう。食われるやつはそれだけの器で、もともと魔の方が強いから狙われるんだ。まぁ、我々の仕事はそんな奴らでも食われないように退治することだ。食われるか食われないかは棚葉十六夜の腕の見せ所と言うわけだ」
「俺に押し付けるなよ。だから結界を魔界との門に絞ればいいだろっていってるんだ」
「その門だけど~、学園そのものがゲートなんだよ。ココは東京の鬼門でね・・・ゲート自体が大きいの。それに・・・・ここにはもともと鬼門を押さえていた神様が祀られていたんだけど、ココの学園長がね、ここを買収して学校を建設しちゃったのさ・・・そしてこの始末だ。困って僕らに依頼してきたというわけ」
「この始末?」
有栖は落ち着いた声で話し始める。
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