16人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜日、七夜に起こされた。いつの間にやら眠れない大きなベッドに寝落ちしたらしい。
朝起きて身支度を整えるとダイニングに行くよう七夜に云われる。
大きなテーブルに有栖、ウサギ兄弟、あげは・・・そして七夜、給仕をするメイド2人。
朝からホテルのブレックファーストのような朝食。テーブルに着くと紅茶とパンが置かれる。スクランブルエッグ、こんがり焼いたベーコンとソーセージ、サラダ、そしてフルーツ。
「若殿さま、今日はいい苺が入りましたのでチョコフォンデュでお召し上がりください」
「ああ、ありがとう」
さすが皇子。こんな朝食食べたことありませんが・・・。面喰ってなかなか食べずにいると、七夜が気を使ってこっそりと話しかけてきた。
「お口にあいませんか?お茶漬けでもお持ちしましょうか?」
「いや・・・大丈夫です。ちょっと面喰っただけで、いただきます」
料理はどれもおいしかった。
有栖は隣に座っているあげはにいろいろ世話を焼いている。苺にチョコをつけて渡したり、かいがいしい。苺を渡されて、あげはは初めて笑顔を見せた。ここに来てからまったく表情を変えなかった。
耳が聞こえないなら仕方がないと思ったが、能面の様な…そう表情筋をピクリとも動かすことがないお人形のようだった。
やっぱり女の子は笑った方が可愛いな。
そんな二人を微笑ましく見ていると有栖が気づいて睨んできた。
やきもちを焼いたのだろうか・・・自分の食事に専念することにした。
たった一人の女の子。野郎ばかりの中で無表情であれ、カワイイに決まってるよな。新たな皇子の一面を見たような気がした。
もしかしたら皇子の彼女なのかな?ちょっと複雑な思いがチクチク心臓を刺した。この痛みがなんなのかはこの時は気付かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!