祓師(はらいし)

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午前中から客がきた。50~60歳大台のオヤジ達。いかにも仕立てのいいスーツをきてどこぞの社長とか幹部なんだろうと察しがつく。 白兎が耳打ちしてきた。今日は別件の小さい仕事らしい。小さいがかなり割がいい仕事だって。 有栖はもらえるところからはかなり踏んだくるらしい。 「有栖の仕事見るチャンスだよ!見せてもらえば?」 と言う。俺も興味がある。  ☆彡  ☆彡  ☆彡  ☆彡  ☆彡  ☆彡 屋敷の奥にひときわ重々しい扉があり、廊下には朱塗りの柱が何本もある。 廊下には途中から白い砂利が引かれている。 洋館建てのこの屋敷の中にこんな社(やしろ)があるとは想像が出来ない。 オヤジ達は七夜に連れられて砂利の前から靴を脱ぎ、七夜に続いて社に入る。 白兎、黒兎、俺、あげはの順で続いて入る。 この場所に入るまでに全員変な着物に着替えさせられた。 着物を着るのは初めてなので七夜に手伝ってもらった。普通の着物ではない。平安時代の狩衣(かりぎぬ)の様な・・・ただ烏帽子は被っていない。みんな孫にも衣装で、ホストっぽい白兎でさえ厳かに見える。 全員席に着く。正面には神棚、御神体である鏡。鏡は天照大神(あまてらすおおみかみ)を示すんだったよな。 神道の神棚・・・檜作りでかなり頑丈で立派だ。部屋の中は蝋燭の灯りが揺らめいてそれだけでも幻想的だ。 しばらくしてから白い神主姿の有栖が入ってきた。 いや・・・違う!黒有栖! 髪は漆黒で艶があり、眼を開くと赤い眼・・・なんて深い緋色。吸い込まれそうだ。 俺達の前を音も立てずに神棚に近づく。 動きに隙が無く美しい立居振舞だ。ついつい見とれてしまう。 有栖川皇子とはまた違う・・・艶っぽさがある。白い狩衣に緋色の襦袢が巫女装束のようで美しい。
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