物事には順序ってものがある

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「あ~、疲れた」 至って平凡な容姿の少年が部屋で寝転がりつつ、気だるそうに呟いた。 彼の名前は皇光太郎(すめらぎこうたろう)。大学受験を控えた高校3年だったが、ある日突然に別の世界ーー更に言うとアニメの世界に訪れた。 その際に身体は高校生のものから縮んでしまい、現在は時を経て中学生位だ。 彼が来たアニメの世界の名前は『魔法少女☆ミラクル』だ。 まあ、俗に言う魔法使いが蔓延る世界である。 そんな世界に送り込まれた光太郎は色々と、本当に色々と面倒な事件に巻き込まれる。 世界の命運を賭けるような問題に何度も首を突っ込んだ事か。 一介の高校生がする事でもあるまい。 「何をだらけてるのよ」 呆れたように長い髪をツインテールにして、頬にあるホクロが特徴的な少女が声を掛ける。 服装は至って平凡であると言えた。 チェックの薄い半袖の上着の下には黒いシャツを着ていて、白のスカートの少女ーー円香同様にアイドルをしている相原美香(あいはらみか)だ。 彼女もまたこの『魔法少女☆ミラクル』とは別の世界からの来訪者だが、光太郎とはまた違う。 〝調律者〟と呼ばれる別の世界を管理する存在だ。 彼女の場合は少しばかし特殊な状況下ではあるが、似たようなものなので細かい事は気にしないでおこう。 そして、今は光太郎は彼女が暮らしてるマンションの一室に上がり込んでいた。 はてさて、光太郎が此処にいるのは彼女に用事があるからだ。 「それより、ほれ」 光太郎は茶封筒を1つ手渡した。 「これは?」 「一応6年前……というか、最近と言うか……とにかく借りてたお金だ」 大会で優勝をし、手に入れた賞金をそっくりそのまま返金した。
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