【第2話】はじめての、夜

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  「へえ、羽村の好みってどんな感じなの?」 な、何を言い出すんだコイツ! そう言いたいのに呆気にとられて声が出なかった。 面白そうに顔を緩める長瀬に、ユリナちゃんは得意げに答えた。 「年上でぇー、落ち着いててぇー、短めの黒髪でぇー、涼やかな目元でぇー、クールな感じなんだけど笑顔がかわいくてぇー……」 な、なんでそんなに詳しく知ってるのっ! って、飲みに行ったりランチのときに話したりしてるから、か……。 それにしたって、ここでそんな話しなくても! 話を振った長瀬はニヤニヤ笑っている。 明らかに、わざとだ。 ちくしょう、ここが外なら思いっきり蹴飛ばしてやるのに。 何かを思い出すように”私の理想像”をあげつらっていたユリナちゃんは、何かを思いついたようにパチンと両手を叩いて、最高の笑顔を向けた。 「そう、神谷さんみたいな人ですよぉっ!」 「えっ? 僕が何か?」 .
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