【第2話】はじめての、夜

21/24
前へ
/24ページ
次へ
  「僕は何にしようかな……」 「神谷さんも、日本酒ですか?」 「ああ、せっかくなのでそうしようかと。おすすめは何ですか? やっぱり呉春?」 「あ、でもスッキリした飲み口が好きならおすすめです」 「一口いただいてもいいですか?」 「っ、は、はい、どうぞ……」 「ありがとう」 にっこり笑った神谷さんは、私のグラスに手をかけて…… 口を付けて、こくり、一口飲み込んだ。 「……ああ、かなり飲みやすいですね」 「……ええ」 かあっと、顔に熱が集まっていくのを感じた。 神谷さんの笑顔が、眩しい。 ……間接キス、だ。 なんて、思うよりも。 お酒が流れていく、その喉仏の動きに見とれていたのは、秘密だ。 .
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1999人が本棚に入れています
本棚に追加