【第2話】はじめての、夜

「もうユリナ、お腹ペコペコなんですよぅ！」
「ごめんごめん」

少し眉を下げて言った私に、「もー澪（みお）先輩はー！」とか言いつつジタバタしながら抗議する彼女を見ながら軽く笑うと、その隣からぬっと長い腕が伸びてくる。
そしてその手はユリナちゃんの口元を塞いだ。

「ユリナ、うるさい」
「うわっ！　何よもう！　修平（しゅうへい）、うざいっ！」
「お前の方がうざい」

ぴしゃり、言い放ったのは高井（たかい）くん。
ユリナちゃんと同じ、新米コピーライターだ。
睨み合う二人を見ていると、つい半年前程……入社してきた時のことを思い出す。

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