【第2話】はじめての、夜

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  『本当にもう、勘弁して欲しいんだけどっ!』 『……こっちの台詞』 『そうだ修平、アンタ頭だけはいいんだから、転職しなさいよぉ! ほら! いますぐっ!』 『お前がしろよ、馬鹿』 『何ですってぇー!?』 ……こんな調子で言い合いをして、最終的に佐川さんと二人を指導する立場の嶋田さんに怒られるまでその争い(ユリナちゃんが食って掛かって高井くんがあしらっている、という印象ではあったが)は続いた。 入社するその日まで、お互い相手が同じ会社に決まったなんて知らなかったらしい。 すごい偶然もあるもんだ、と感心したことを覚えている。 『腐れ縁ってゆーか、もう腐り切ってる縁なんですよぅ! ってゆーか、アイツとの縁なんていらないぃ~……!』 そうユリナちゃんが言えば。 『俺も、馬鹿との縁はいらない』 スパン、と切れ味よく高井くんが切り返す。 それにユリナちゃんが反論して、また高井くんがあしらう。 二人が入社して以来、そんな光景が日常になっていた。 .
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