【第2話】はじめての、夜

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  「羽村ー、今日どこの店にしたんだっけ?」 後ろから聞こえた佐川さんの声にハッとして、振り返る。 「あ、“のざわ”です。あと少しで着きます」 「へえ、どんな店?」 「お魚が美味しくて、日本酒が揃ってるんです。佐川さん、お好きでしょ?」 「そりゃ楽しみだな」 満足そうに目尻を下げる佐川さんの様子を見て、ホッとした。 “のざわ”はカウンター数席とテーブル2席ほどのこじんまりしたお店だが、一番奥に一つだけ、8人くらいは入れる座敷がある。 旬のお魚や野菜を使ったほっこりした料理が多くて、お酒の酒類も豊富だ。 特に、日本酒の種類がたくさんあるのが気に入っている。 佐川さんは続けて、未だに睨み合っているユリナちゃんと高井くんに目を向けた。 .
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