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「まだガキだ、殺しても構わないだろ、なぁ、いいよな?」
小太りの男がふところからナイフを取り出した
おそらく用事とはバジルを殺すことだった
それに気づくなり、黒亞はこの家を、バジルを守らなければと察した
ジリジリと迫ってくる男の後ろでは、長身の男が壁にもたれてタバコを吸っていた
隙を見てなんとかしなければ
バジルの家がめちゃめちゃになってしまう
その瞬間
男の手が振り上がった
黒亞めがけてナイフを振り下ろす
それをギリギリでよけ、台所へと逃げた
「へへへ、逃げても無駄だぜ?」
舌なめずりをしてゆっくり台所へ向かってきた
黒亞は包丁を手にとった
「なんだ?俺をやろうってか?」
カタカタと震える手を抑え、包丁を男に向ける
泣きそうになるのを堪え
バジルに教えてもらったことを思い出していた
『相手が振り上げた瞬間が狙い目だ、集中しろ、お前ならできる』
小太りの男が再びナイフを振り上げた
瞬間
黒亞は前へ進み男のふところへ潜り込んだ
「へ?」
とっさの出来事に男の反応は少し遅れた
気づいたときには
腹から血が出ていた
黒亞は包丁を抜き、倒れそうな男を、勢いを利用して横に倒れさせた
男はそのまま動かなくなった
震える両手を見ると
とても美しい赤色に染まっていた
そしてバジルの臭い、血の臭いがした
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