愛と憎しみの狭間

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 ブルタブを引き、ビールを食道に流し込んだ。胃がカッと熱くなる。朝方からのお酒は、目覚めたばかりの脳味噌を暗く鈍らせた。 ――朝方、拓也さんはとうとう口を聞いてくれなかった。もう……隠し通せないのかしら――でも何を言われても、絶対に別れないから――。 テーブルには日本酒、ビール、焼酎、多種のお酒を用意した。不安な思考をぼかしたいのに、飲んでも、飲んでも晴れることはなかった。 ――ウー! ワンワン! ワンワン! 「うるさいわねぇ! 私に物を申して良いのは拓也さんだけなの! 小汚い犬はあっちへ行け!」 飲み干した缶を、チワワのゲームに投げつけた。 ――ギャンギャン!!!! ウー!
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