満月の夜

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俺は有田のみぞおちにひざ蹴りを一発お見舞いして一気に気絶させた。 「すごいね、十六夜クン。惚れちゃう」 「惚れんでいいから、早くとじ込めて。そしたら黒兎んところ連れて行って浄化してもらってくれ・・・まだ日が浅いからすぐとれる」 「りょ~かい!」 ぐったりした有田を背負って黒兎の所に運んでもらう。独りで次に進む。 里崎か・・・ここもおんなじ匂いがする。 「里崎さん、夜分スイマセン」 ドアをノックすると里崎という男が出てくる。 「やっぱ押さえてたやつのもう一人の方か」 「なんだと?」 里崎はすごんでみせたが、首に手刀を一発入れると一瞬で気絶した。 さっさとこいつを背負って下に降りる。コイツもまだ取り憑枯れてから間もない。下りている途中、三階で強い臭気を感じた。魔物の臭い・・・かなり強い。 校庭に里崎を置いてくるとそのまま三階に向かう。白兎がついてくる。あまりに強い臭気に白兎もヤバイと思ったのか・・・ 「有栖を呼んだ方がいいんじゃない?」 「そうかもしれない。白兎、呼んで来てくれるか?」 「わかった。それまで十六夜クン無茶しちゃダメだからね」 「了解」 二手に分かれて走り出す。 あの時の最後の一人、やつに違いない。 妖気が漏れ出ているのは308号室。表札は『3年 相川』 「相川さんいますか?」 「・・・・」 返事が無いが妖気はある。中には確実にいる。 俺は鍵のかかったドアに回し蹴りを入れるとドアノブごととれて中が血の海になっていた。 「なんだこれっ!」 奥に進む・・・ 「相川さん?」 そこにはこの前の虐めをやってた男が一年生の佐々木くんに喰われていた。もう頭が喰われてなくなっている。 佐々木くんの方が上級の魔物?見抜けなかったなんて・・・。 「棚葉先輩・・・まずいとこ見られちゃってやさしいのも大概にしないと墓穴掘りますよ」 頭のなくなった相川を放り投げるとこちらに襲い掛かってきた。 「風斬りっ!」 風斬りを避けて半身そりかえる・・・身体が前後逆になってもまだ走っている・・・完全な魔物だ。佐々木くんの身体は凌駕されてもはや人間ではない。 戻ってきた風斬りを手にすると佐々木くんを追いかけると、一階にいた有栖達と鉢合わせになった。
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