1108人が本棚に入れています
本棚に追加
「で? どっから覚えてないんだよ?」
そう言いながら長瀬は、スヌーズ設定していたケータイを手に取り、アラームを切る。
あまりに落ち着いた様子に、私とのギャップを感じて戸惑いつつ、私は顔を上げた。
何年も一緒に仕事をしてきて、もう見慣れているはずの顔なのに。
この至近距離で、しかも肌と肌が触れ合っている状態となると……まるで違う。
冷静になんて、全然なれそうになかった。
「ぜんぶ……っていうか、腕、離して……」
「あ?」
「わああ、近い近い近いっ!」
不機嫌そうな声とともに、ずい、っと寄せられた顔を、必死で押し戻す。
.
最初のコメントを投稿しよう!