【第4話】一夜の過ち、ではありません

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  ……イライラしてるときの方が、仕事が捗るってどうよ……? 時計を見れば、まだ18時半だった。 こんな時間に終われるなんて、奇跡に近い。 よそ見をせず、ひたすら仕事にのめり込むように集中していたせいか、なぜか手がすいすい進み、予定してた時間より随分早くUPすることができた。 明日の分を進めることもできるけど、一刻も早く帰りたかった私は、さっさと帰り支度に励んだ。 家でおいしいお酒を飲みながら、この苛立ちを発散したかったから。 理由は、もちろんこの男。 「あれ、羽村、もー終わり?」 「……」 無視よ、無視。 私は心の中で唱え、振り向くことさえしなかった。 すると、そっとメモが視界に入ってきた。 長瀬から差し出されたものだ。 嫌な予感しかしないその紙切れを開いて、絶句した。 .
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