【第4話】一夜の過ち、ではありません

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  そもそも、外に出ると思っていたから、私はドアを少しだけあけて、「ちょっと待って、靴履くから」って言おうとしたんだ。 なのに私がドアの隙間から顔を出したら、長瀬は当たり前のようにそれを引いて。 手に持ったビニール袋をガサガサいわせながら、靴を脱ぎ始めた。 「え、ちょっと?」 戸惑う私に、ビニール袋を「ん」と手渡して。 ジャケットまで脱ぎ始めた長瀬を見て、もう私に発言権はないんだと悟った。 諦めてキッチンへと向かい、手元の袋を覗き込んで、また溜息。 あーあ、またコイツを家にあげることになってしまった……。 .
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