【第4話】一夜の過ち、ではありません

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  余裕あふれる長瀬の顔が、また少し、近付く。 覗き込むような仕草に、また私の顔が歪む。 「一回してんだから、もう何回したって一緒だろ?」 「っ、あれはっ!」 「お前が言ったんだよ、『きもちいー』って」 「違うっ! 全部、間違いよ、間違い! もう忘れる! だから長瀬も忘れて!」 叫ぶように言った私の言葉に、目の前の長瀬はニッと笑う。 その笑顔が、捕食者の顔に見えて、私は引きつった。 「やだね。こーんな相性いいカラダ、誰が手放すかよ」 言うが早いか、あっという間に組み敷かれてしまった。 私の手はソファに縫い付けられ、身動きが取れない。 「なっ、ちょっ、長瀬っ!?」 「んー?」 「冗談やめてよっ!」 必死に抵抗するも、力の差は歴然で。 振りほどくこともできない腕に、不安だけが募っていく。 .
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