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その画面は期待以上の画質で、どこかの空間の映像を写していた。
大理石のタイルで造られた広い部屋が映されていて、遠くに廊下の分岐点がいくつも見える。
そして画面の右上には、『部屋B入り口前』と白いワープロの文字で打たれている。
園田は、咄嗟にこの部屋にある一番大きな扉に目を向けた。
扉には、大きなアルファベットのBの字が書かれている。
(この部屋の外の映像だ……)
「やってられっか!
こんなふざけた会社だって知ってたら、元から入社なんてしねぇってんだ!
俺は帰る!」
金髪の男は痺れを切らし、Bと書かれた扉へ向かう。
誰も止めはしない。
誰だって同じ気持ちだ。
ただ、先程の画面に記されていたいくつかの内容が怖くて、少し迷っているだけ。
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