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大きな声の主は小野寺。
優等生のような見た目からは予想もできない怒声が彼から発せられた。
「部屋の外に……なんかいるぞ……」
小野寺が大画面を指差すと、誰もの視線が画面へと集まった。
ゴミ一つ落ちていない、綺麗な大理石の床の上を、二足歩行のザリガニのような生き物が歩き回っている。
ザリガニとは言っても、大きさは小柄な男性と同じくらいで、部屋にいる誰もが目を疑っていた。
こんな生物が存在するはずないと。
そして目を凝らせば、ザリガニの手であるハサミから、何か赤い液体が滴り落ちているのが確認できる。
無論。
血だ。
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