【第5話】逃げ道なんて、ありません

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  「……起きた?」 覗き込むようにその顔を伺った、瞬間。 ちゅ。 唇に触れた熱。 視界いっぱいに、ぼんやりとした、長瀬の顔。 また、やられてしまった。 「……」 不意打ち過ぎて何も言えない私に、「……だから、目くらい閉じろって」と呟いた長瀬。 その笑顔は、いつも通りの、意地悪なオレサマの顔だった。 するりと、私の頭を一度撫でて。 強くあたたかい腕の中から、やっと解放してくれた。 .
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