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「……長瀬、起きて」
「んー……?」
目を閉じたままで顔をしかめる長瀬。
私はその胸を、トントン、と叩く。
「長瀬、ほら、朝だよ」
「……ん」
こくり、頷く。
けれどまだ、目は閉じたまま。
何度も、『わかった』とでも言うように頷いている。
普段見せない部分のせいか、妙におかしく感じてしまう。
笑いを噛み殺しながら、今度は肩を揺すってみた。
「なーがーせ」
「……ん」
こくこく、と揺れていた頭は、一際大きく頷いた後、ぴたり、その動きを止める。
不思議に思っていると、ゆっくり、頭が起き上がってきた。
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