【第5話】逃げ道なんて、ありません

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  「……長瀬、起きて」 「んー……?」 目を閉じたままで顔をしかめる長瀬。 私はその胸を、トントン、と叩く。 「長瀬、ほら、朝だよ」 「……ん」 こくり、頷く。 けれどまだ、目は閉じたまま。 何度も、『わかった』とでも言うように頷いている。 普段見せない部分のせいか、妙におかしく感じてしまう。 笑いを噛み殺しながら、今度は肩を揺すってみた。 「なーがーせ」 「……ん」 こくこく、と揺れていた頭は、一際大きく頷いた後、ぴたり、その動きを止める。 不思議に思っていると、ゆっくり、頭が起き上がってきた。 .
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