【第5話】逃げ道なんて、ありません

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  「んー」とひとつ、大きな伸びをして。 もう一度、私に向き直って頭に手を乗せた。 「起こしてくれてサンキュ。じゃ、会社でな」 そう言って、ベッドで体だけ起こした状態の私に背を向ける。 その背中を見ながら、思考をまとめようと試みた。 ……昨日は、手、出してこなかった。 キスだって、いま寝惚けたみたいにした、あれだけ。 ただ、隣で眠った、それだけだ。 これは、もう“終わった”と思っていいってこと? 解放してくれる、ってこと? ……だとしたら万々歳、なんだけど。 キッチリ、口頭で言ってもらえると安心度も増す! .
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