【第5話】逃げ道なんて、ありません

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  「ま、待って!」 ……しまった。 思わず引き止めてしまった。 「ん?」と、どうした、とでも言いたげな長瀬が振り返る。 「あ、あの、えっと……」 しどろもどろになりながら、何とか長瀬から“終わり”を意味する言葉を引き出せないか考えた。 が、そんなに都合良く言葉が転がっているわけがなく。 何かを言おうとして口は開くものの、次の句が出てこない私に、長瀬はふわりと笑った。 「……面白いヤツだよ、お前は」 「え?」 何の裏もない、そんな笑い方、だった。 呆気にとられる私に歩み寄って、ぽん、と頭に手を置いた。 .
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