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神谷さんの名前に浮かれている場合じゃない。
まずは敵……つまり長瀬の耳に、この素敵なお誘いが入らないようにすることに全力を注がねば。
妙な気合を入れ、私はそっと長瀬の方を伺った。
仕事に集中しているのか、私の動向に気付く様子はない。
よし、と心の中で呟いて、画面に向き合う。
……とりあえず、返事、しなきゃ。
何をどんな風に返すべきか。
散々迷って、試行錯誤して、推敲したあげくに、メールは完成した。
会社のアドレスに送ろうとして、一度やめて、でもプライベートのアドレスに送るなんてハードル高過ぎて無理! と思って、やっぱり会社のアドレスに送ることにした。
神谷さんにならって、少しビジネスっぽく見えるように心がけて。
送信をクリックするときには、思わず息を止めてしまった。
緊張と興奮で、どうにかなりそうだ、なんて思った。
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