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意を決して、ドアに手をかける。
カラ……と軽い音がした瞬間。
「羽村さん!」
「っ!」
呼びかけられた声に過剰に反応してしまった。
手を止めた私がゆっくり振り返ると、声の主は少し眉を下げて笑った。
「すみません、少し遅れてしまいました」
「いえっ! そんな、私も今着いたところですし!」
慌てて顔の前で手を振ると、神谷さんの表情も和らいだ。
「そうですか、なら良かった。じゃ、入りましょうか」
「は、はい!」
変に気合いの入った返事をしてしまった私に、神谷さんは軽く笑った。
私は恥ずかしさで真っ赤になるのを自覚しながら、神谷さんに続いて店へと足を踏み入れた。
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