1844人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「さ、何食おうかな。腹減った!」
屈託のない笑みを浮かべてメニューを手に取った神谷さん。
その様子は、さっきまでのビジネスライクなやりとりとは、正反対で。
突然変わった神谷さんの雰囲気に、声も出なかった。
メニューとにらめっこをする神谷さんが、「んー」と唸る。
片手を口元に当てて、真剣な顔をして。
初めて見る表情に、また心臓が大きく波打つ。
釘付けになっていた私に気付いた神谷さんは、照れたように笑った。
「すみません、つい夢中になって」
「あ、いいえ、大丈夫です!」
慌ててぶんぶん顔を振る私。
苦笑する神谷さんは、私の方に向き直った。
.
最初のコメントを投稿しよう!