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「へえ、羽村さんは長女なんだ。妹さんはいくつ下?」
「えーっと、三つ、です。だから、今年二十四になるのかな」
少しだけ考えて、神谷さんの問いに答える私。
手元にある飲み物は、もう日本酒に変わっていた。
……あの会話から一時間後。
すでに私は、フィルタを外した会話というものに慣れてきていた。
最初は、とんでもないと思っていたのに。
お酒の力ももちろんあった、が、それだけじゃない。
神谷さんはその笑顔と持ち前の会話力で、私との間の壁を見事に破ってくれたのだ。
プライベートに関しては、お互いに知らないことだらけだから何を話しても新鮮で。
何より、憧れの神谷さんから個人的な話を聞けることが嬉しくて。
次第に敬語が半々になってしまっていることも気にならなくなって、すべてが楽しくなってきていた。
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