【第6話】思いがけない、お誘いと

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  「神谷さんは、ご兄弟は?」 「五つ上と二つ上に兄が二人と、三つ下の弟が一人。ああ、羽村さんと同い年かな、弟は」 「へえー! お兄さんに弟さん…すごいですね、四人も兄弟がいる人って初めて会いました!」 珍しいよね、と言いながら笑う神谷さんは、いつもと全然違う。 キリッとしたスーツ姿から想像するいつものクールで知的な感じとは反対に、朗らかでくだけた感じがますます魅力的で、どんどん引き込まれてしまいそうだ。 「まあ、男ばっかりだからね。それはもう、賑やかだったよ」 「楽しそうですよね、何だか」 「はは、子どもの頃は喧嘩も多かったけどね」 当時を思い出してか、苦笑する神谷さん。 その表情が、兄弟仲の良さを物語っていた。 「似てます? 顔とか」 「うーん、どうだろう。上の兄とは似てるって言われるかな。父親似らしくてね」 「へえー……」 五年分、年を取った神谷さんを想像してみる。 五年くらいじゃ、あんまり変わらないよね、と思いながらも少しだけ、くすぐったい。 .
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