【第6話】思いがけない、お誘いと

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  長瀬にも言われたはずの『面白い』という言葉が、全然違う響きで耳に入ってきたことに、密かに動揺した。 同時に感じた、ドキドキと嬉しさと、少しだけ足りないような、変な気持ち。 それは、きっと、小さな期待。 一緒にこうやって飲んで話せることがどれだけすごいことか、いまさら言わなくてもわかってる。 けれど、今のこの瞬間私の隣にいるのは、“鳳凰堂の神谷さん”じゃなくて、“神谷さん”という、ひとりの男の人。 その神谷さんが、私と一緒になって、楽しそうに笑ってくれている。 同じものを食べて美味しいと言い合って、同じようにお酒を飲んで、同じ時間を共有している。 嬉しくて、楽しくて、気持ちがどんどん増幅してしまいそうで。 いつの間にか吹き飛んでいた緊張は、代わりに余計な期待を呼び込んでしまったようだ。 .
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