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「あ、ありがとうございます……」
顔を上げられないままではあったが、それを受け取ろうと手に取る。
が、神谷さんはぐっとメニューを掴んだまま、離さない。
それはつまり、両端をお互いが手にしたまま、の状態になってしまっているということだ。
「あの……?」
不思議に思って神谷さんの方を伺うと、真剣な瞳と視線がぶつかった。
「羽村さん」
「は、はい……」
「何を考えてた?」
静かだけれど、強い口調。
さっきまでのトーンとはまるで違う響きに、息を呑む。
……怒らせてしまった。
伝わってくる空気から、そう、判断した。
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