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「っ、違うんだ! ごめん! 言い方が悪かった!」
さっきまでの私以上に慌てた声が、耳に飛び込んできた。
そろそろと顔を上げると、神谷さんが首を振りながら「ええと」「そうじゃなくて」と、言葉を探しているような素振りで呟いている。
手も忙しなく動き続けたままだ。
神谷さんが何を言いたいのか、何を言おうとしているのか、まったくわからない。
けれど神谷さんは目を泳がせたまま、思案し続けている。
私はぽかんと口を開けた状態で、その様子を眺めていた。
「だから、つまり、謝らせたかったわけじゃなくて、ただ……」
ようやく考えがまとまったのか、ちらりとこちらを伺うように見ている神谷さんと目が合った。
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