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拒否してもいずれ死ぬ、契約しても完全に安全とは言えない…。
俺は膝から崩れ落ちた。
「そんな…どうしろって言うんだ」
「さっきも言ったが、サポートするから安心しろ。契約しないより万倍も安全だと思うぞ、それと…」
彼女のほうを見る、少しそわそわしていた。
「この夢の中にいられるのももう長くない、このまま契約せず夢が終われば拒否したとみなされてしまう」
こんな生きる死ぬの選択肢の前に時間制限まであるとは。
俺は必死に考えた、考えて考えて考えた。
「あぁぁぁぁあ!!」
頭を掻き毟りながら叫び、立ち上がった。
「…契約、してくれ。拒否しても死ぬんだ。だったらとことん戦って生きてやる」
もう半ばヤケクソだった。戦いたくなんてないし、でも死にたくもないから戦う。
やるしかない。
「そうか!よかった、安心したぞ」
メリアーダは真っ赤な椅子から腰を上げ、こちらへ近づいてきた。
さっきまで椅子に座っていて気付かなかったが、近くで見るとどこにでもいそうな小柄な少女だった。ただ、白に包まれた見た目と真っ赤な瞳を除いて。
「もう迷いは無さそうだな、まぁ有ってもそろそろ時間なので待てないが」
迷いはまだまだあるが彼女はこちらを気にせず、見た目とは裏腹な堅苦しい口調で続ける。
「最後に私からの質問だ、お前の名前をまだ聞いていなかったな、教えてくれ」
急に質問され、間の抜けた声で答えてしまった。
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