第1話

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そして数日が過ぎ、とうとう電気の送電を停められたらしい。 男は煙草をふかしながらただただ呆けている。電気を停められたと言うのに危機感がまるで感じられない。これはいよいよを以てダメな人間かもしれない。 だがそれは私にとって好都合。 観察、と言ったがそれは私達が行う仕事のうちの一つ。あらかじめ決められた期間内、私達は一人につき堕落した人間一人を観察し、期間を過ぎても尚観察対象が改善、更生、すなわち自立して人並みに生活能力が得られない場合のみ干渉し、ある契約をする。 今回観察してきたが、この男は改善の余地なしと判断出来るため、干渉することになった。
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