汗と笑顔と

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もしかしたら、おかしくなってしまった空気を換えたくて、吉岡さんなりに走りながら考えてくれていたのかもしれない。 「ありがとうございます」 素直にお礼を言っただけなのに、ちらりとこちら見てまたふって笑うから、私もちょっとだけ肩の力を抜いて笑えた。 私の右手を握っていた吉岡さんの手が、私の頭をくしゃって混ぜてようやくハンドルの上に戻っていくと、離して欲しかったはずなのに、温もりが無くなって少し寂しい。 「次は美味いものご馳走してやるよ」 「はい、楽しみにしてます」 返事をしてから、次? って疑問に思わなかったわけじゃないけど、聞かなかったことはいずれ後悔する事になる……。 .
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