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自分のスポーツバッグから取り出した水を、喉をごくごく言わせながら飲んでいる姿も様になっている。
ただ水を飲んでるだけでカッコいいってどうよ。
「飲むか?」
「結構です」
飲んでいたペットボトルを差し出されて、慌てて首を振る。
じっと見ていたのを咎められるのかと思った。
しかも吉岡さんの飲んだ水なんて緊張して飲めるわけない。
ひょいと荷物を肩にかけて、無駄に私の髪をわしわしかき混ぜて、シャワーしてくると言い残すと、皆と一緒にぞろぞろとシャワー室に消えていった。
「休みの日まで吉岡さんといると疲れる……」
私が勝手にドキドキして勝手に疲れているだけで、吉岡さんは全然いつもと変わらないのに。
飲み物飲まれるし、タオル取られたし、そりゃあカッコよかったけど、心の準備とか出来てなかったんだから。
「いいじゃない。ただ、私は司の応援についてきて欲しかっただけだし、いつも全員が揃うわけじゃないんだから。今日だって吉岡さんが来るって決まってたわけじゃないし」
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