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ただ今日は、吉岡さんの知らなかった一面を垣間見ることが出来たし、それだけで十分だ。
「吉岡さん、一緒に飲みに行きましょうよ」
「あぁ、俺車だから……」
「じゃあ、ドライブに連れて行ってくださいよ」
「あいつ送っていかないとだから無理」
シャワーから戻ってきた途端に、さっきまでギャラリーだった女性達に取り囲まれている吉岡さんが、『あいつ』と言って指差したのはどうやら私らしく、さっきまでハートのオメメだった人達が凄い形相で睨みつけてきた。
視線が痛過ぎる。
澄ました顔で爆弾投下しないで欲しい。
「のりちゃん助けて」
「ふふっ」
私はのりちゃんと来たから吉岡さんとは関係ないぞとアピールしつつ、のりちゃんと話しながらスポーツクラブの出口へと向かう。
片桐専務はうんざりしている吉岡さんを笑いながら、車のキーをポケットから取り出して、ピコンとロックを解除してのりちゃんと前の座席に乗り込む。
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