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動揺する私をまたも肩を震わせて笑うから、思いっきり吉岡さんの肩を叩いた。
「危ないなぁ、走ってる最中だったらどうするつもりだよ」
たしかに走ってる途中だったら危ないけど、信号が赤だってことくらいちゃんとわかってるのに。
本当に人をからかうにしても酷すぎる。
好きだって思ってしまった私だけが動揺して、好きだって思ってしまったから動揺して……。
今にも涙が溢れそうなのを必死で我慢した。
……でもやっぱり無理。
「もぅ、バカみたい」
「は?」
ここがどこかなんて全然わからないけど、そんなこと今はどうでもいい。
涙なんて見せて面倒な女だって思われたくなくて、信号が変わる前に急いで降りようとシートベルトに手をかけた。
「ここでいいです」
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