上司と部下

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* * * * * * * * * * * * 『本当に酷い上司ですね』 茜に言われた言葉にぐさりと心臓を抉られた気がした。 少しずつ茜との距離を縮めてきたつもりだったのに、まだまだ俺はただの上司としか思われていないことに愕然とした。 どうせなら本当に眠っている隙に連れて帰ればよかったかな、なんて考えまで浮かび上がってくる。 ここまで想っているのに、伝わらないってどうなんだろう? それほどまでに俺に興味がないって事なのか? 緊張でもしているのか、部屋の鍵がなかなか開けられずにいる姿まで愛しいというのに。 そんなことを考えていたら、あまりに滑稽な自分に笑えてきた。 「そんなに緊張しなくても、そう簡単に『部下』に手を出したりしないから安心しろ」 そうは言ったが上司だとか部下だとかは関係ない。 ただ茜にだけは、そう簡単に手を出せるほど軽い想いじゃないんだ。 .
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