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「よりにもよって、ナナセに美嘉のケータイ番号教えるなんて、美嘉に何されても知らないよ」
メイはアタシにそう言うと、にやにやと笑いながら席に戻っていった。
「ごめんね」
と、凛は何か知っているのかアタシにそう言って、あわててメイのあとを追った。
席につくとふたりはまた楽しそうにおしゃべりを始めた。
誰が決めたわけでもなかったけれど、美嘉はアタシやメイや凛のグループのリーダーだった。
美嘉は、始業ベルと同時に教室にやってきた。
美嘉の席はアタシの前の席だ。
「お、おはよう」
アタシはそう声をかけたけれど、美嘉から返事はなかった。
美嘉は鞄をどん、と机に置いて、アタシを振り返った。
美嘉は笑っていた。
だけどその笑顔が作り物だということはすぐにわかった。
美嘉とは高校に入ってからのまだ短い付き合いだけれど、それが怒っているときの顔だとアタシにはすぐにわかった。
「麻衣、話があるの。ちょっと付き合ってくれない?」
「でも、これからホームルームだし……」
「いいからついてきなさいよ」
美嘉はアタシの腕を痛いほど強く握って、引っ張った。
「痛いよ、美嘉」
「うるさい」
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