第1話

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「よりにもよって、ナナセに美嘉のケータイ番号教えるなんて、美嘉に何されても知らないよ」  メイはアタシにそう言うと、にやにやと笑いながら席に戻っていった。 「ごめんね」  と、凛は何か知っているのかアタシにそう言って、あわててメイのあとを追った。  席につくとふたりはまた楽しそうにおしゃべりを始めた。  誰が決めたわけでもなかったけれど、美嘉はアタシやメイや凛のグループのリーダーだった。  美嘉は、始業ベルと同時に教室にやってきた。  美嘉の席はアタシの前の席だ。 「お、おはよう」  アタシはそう声をかけたけれど、美嘉から返事はなかった。  美嘉は鞄をどん、と机に置いて、アタシを振り返った。  美嘉は笑っていた。  だけどその笑顔が作り物だということはすぐにわかった。  美嘉とは高校に入ってからのまだ短い付き合いだけれど、それが怒っているときの顔だとアタシにはすぐにわかった。 「麻衣、話があるの。ちょっと付き合ってくれない?」 「でも、これからホームルームだし……」 「いいからついてきなさいよ」  美嘉はアタシの腕を痛いほど強く握って、引っ張った。 「痛いよ、美嘉」 「うるさい」
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