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教室の隅の席で大きな体をいつも窮屈そうにして座っていた彼が、すらりと伸びた長い手足で華麗にダンクを決めるのを見て、アタシはyoshiの彼女になりたいと思った。
友達の美嘉とメイと凛に頼んで、部活終わりのyoshiを呼び出してもらって、一五六センチのアタシは、放課後の体育館の裏で、頭ひとつ分高い場所にある彼の顔を上目使いで告白した。
yoshiは返事をするかわりに、アタシの唇にキスをした。
それがアタシのファーストキスで、その日からアタシとyoshiは恋人になった。
yoshiは隣町の中学の出身で、彼も自転車通学だった。
アタシの家は、彼が通学に使う道からそう離れてはいなかった。
その日は並んで自転車に乗って帰った。
返事のかわりにキスをするくらい大胆なくせに、彼はとても無口ではずかしがりやだった。
彼が何か喋ってくれるのを待っているうちに、一言も言葉を交さないままアタシの家に着いてしまった。
「アタシの家、ここだから」
そういうと、
「そう」
とだけ、彼は言った。
うん、とわたしは言った。
「それじゃあね」
アタシが自転車を車庫に片付けるのをyoshiはずっと見ていた。
「俺、つまんないだろ。しゃべんないから」
アタシの背中にyoshiはそう言った。
yoshiは中学のとき何度か女の子に告白されて付き合ったことがあるのだけれど、どの女の子とも長く続かなくてすぐに別れ話をされてきたのだと言った。
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