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yoshiから、彼の友達のナナセって子が、アタシの友達の美嘉のことが好きらしいという話を聞いたのは一学期の終わりのことだった。
バスケ部の練習が終わるのを、マネージャーでもないのに体育館の中で待つのがアタシの日課になっていた。
汗ばんだ肌に、夏服の生地の薄いセーラーが張り付いて、アタシは下着が透けて見えていないか気にしながら待っていた。
「ナナセくんてどの子?」
練習終わりの、ナイキのタオルで汗を拭うyoshiにスポーツドリンクを渡してアタシは聞いた。
長い前髪をまっすぐ目の上に垂らした男の子をyoshiは指差した。
「うちのリバウンド王」
と、yoshiはアタシにナナセを紹介した。
ナナセはyoshiよりもずっと背の高い男の子だった。
「でかいだろ。一九〇センチもあるんだ」
一八〇センチのyoshiの顔を見上げるだけで首が痛くなったりするのに、それよりも十センチも高い場所にナナセの顔はあった。
アタシは、どんな高い場所を飛んでいるボールも彼は捕まえてしまうだろうと思った。
小麦色に焼けたyoshiとは対照的に、ナナセはとても色が白かった。
「バスケだけじゃなくて勉強もできるんだぜ。期末試験、学年で十位以内だったもんな」
yoshiはナナセとよほど仲がいいのか、いつも無口なくせにまるで自分のことのように彼のことを自慢した。
ナナセは長い前髪のせいで口元しか表情はわからなかったから、yoshiの紹介に照れているのだと気付くのにアタシは随分かかった。
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