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「美嘉ちゃんとは同中だったんだって。中学んときから好きだったんだよな」
yoshiにそう訊かれてナナセは首を何度も縦に振った。
yoshiはアタシのことを麻衣、アタシの友達のことを苗字ではなく下の名前を「ちゃん」付けで呼ぶようになっていた。
付き合い始めたばかりの頃は、アタシの名前を呼ぶのも「さん」付けで、恥ずかしそうにしていたのに、成長したなって思う。
ナナセは手でVサインを作ると、
「中二から好きだった」
と言った。
「告白しなかったの?」
今度はアタシが尋ねると、ナナセはまた首を何度も縦に振った。
「美嘉には噂になってた男がいたから」
そう言った。
アタシは美嘉から中学時代の話をあまり聞いたことがなかったけれど、中学生なんてそんなものだ。
早い子は中学生のうちにバージンを捨ててしまうけれど、ほとんどの女の子は誰と誰が付き合ってるとかどこまでしたのかとか、そんな噂話をして三年間を過ごしてしまう。
「告白すればよかったのに」
アタシがそう言うと、ナナセはぶんぶんと首を大きく横に振った。
「そんなこと、できない」
彼もyoshiと同じでとてもシャイな男の子なのだ。
だからふたりは気が合うんだろうと思った。
「でも、とうとう告白する気になったんだよな」
yoshiにそう言われて、ナナセは大きくうなづいた。
「こんなヤツだから直接告白なんてできそうにないから、電話がいいと思うんだ」
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