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司に会うくらいなら、先週の新入社員の研修期間中に居酒屋で会って以来茜の顔を見ていないから、会社に戻ったほうがましだと思いながらも、大事な話があると言われて仕方なく了承。
呼び出しておいて、当の本人はまだ来ていない。
「1人?」
「いや、司が来るはずなんだけど……」
とりあえずカウンターに座ってビールを注文。
グイッと煽って1日の疲れを癒す。
「最近元気ないけどどうかした?」
あんまり客の顔を見ていなさそうで、この陸さんという人は本当によく見ている。
ただ茜の顔を見ていないだけでテンションが下がっている俺も俺なんだけど。
半年前まではどこの誰かもわからなかったのに、近くにいるようになってからは間違いなく些細なことに一喜一憂している。
「そう? 別にいつも通りだけど……」
「金の相談には乗らないけど、恋の相談なら聞いてやるよ」
本当にこの人だけは、本気なのか冗談なのかわかりづらい。
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