つかの間の休息

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「早くしろ」 「は、はい」 鞄を持って立ち上がると、私の手を取って歩き出した。 「お疲れ~」 「あ、吉岡もう帰るのか? って、え? どうなってんの?」 「茜ちゃんと?」 みんなが注目するからものすごく恥ずかしい。 絶対にバレたよね。 「吉岡さん、手……離してください」 「何で?」 「何でって……」 真っ赤になる私を楽しむように口元を綻ばせて、握る手に力を込めるからもう心臓が破裂しそう。 「茜ちゃん、頑張ってね~」 後ろから更に面白がっている白井さんの声が聞こえるけど、振り返るなんて出来なくて、俯いたままエレベーターに乗り込んだ。 2人きりのエレベーターで、恥ずかしさのあまり吉岡さんを睨みつけて抗議しても、全然悪びれた様子もなく、ふって笑いながら手を繋いでいないほうの手で鼻を摘まれた。 どうせ私だけ真っ赤だし、動揺してるし、心臓飛び出しそうですけど、ちょっとくらい何か言ってくれてもいいのに。 .
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