1555人が本棚に入れています
本棚に追加
強引に引き寄せられたと思ったら、目の前には情熱的な吉岡さんの瞳。
「……」
思わす息を呑む。
「もう待てない」
少し掠れた声に返す言葉を失った。
タクシーが止まったのはとある高層マンションの前。
いつもなら私のマンションについているはずなのに、そこは見知らぬ場所。
大体の予想はしていたけど。
「ここって……」
「俺のうち」
ですよね……。
エントランスを抜け、エレベーターが下りてくるのを待って乗り込む。
たぶん高所恐怖症なはずなのに、エレベーターの16階のボタンを押すから驚いた。
てっきり低層階だと思っていたのに。
エレベーターはゆっくりと、だけどどの階にも止まることなく上がっていく。
下唇をちょっと噛んで、ゆっくり私に視線を下ろした吉岡さんがふって笑った。
.
最初のコメントを投稿しよう!