つかの間の休息

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強引に引き寄せられたと思ったら、目の前には情熱的な吉岡さんの瞳。 「……」 思わす息を呑む。 「もう待てない」 少し掠れた声に返す言葉を失った。 タクシーが止まったのはとある高層マンションの前。 いつもなら私のマンションについているはずなのに、そこは見知らぬ場所。 大体の予想はしていたけど。 「ここって……」 「俺のうち」 ですよね……。 エントランスを抜け、エレベーターが下りてくるのを待って乗り込む。 たぶん高所恐怖症なはずなのに、エレベーターの16階のボタンを押すから驚いた。 てっきり低層階だと思っていたのに。 エレベーターはゆっくりと、だけどどの階にも止まることなく上がっていく。 下唇をちょっと噛んで、ゆっくり私に視線を下ろした吉岡さんがふって笑った。 .
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